2017年03月14日

太子温泉の駅前看板から想起することなどなど 〜レーガン元大統領の表記変更の際の思い出も

 昨日の記述で、聖徳太子に絡めて(というより、きっかけは太子温泉の駅前看板)、歴史的な事実の発見、検証と市民的感情の整合性の難しさに関して述べたところ、若干の感想をいただいたので、さらに少し追加を。
 表記に少し迷ってしまうが、ウォーレン・ビーティというアメリカの俳優がいる。「俺たちに明日はない」での主演がとくに有名である。日曜洋画劇場で長く解説を務められていた淀川長治さん *1 も少し言いにくそうにしながらも「ウォーレン・ビーティ」と発言されていたのがなつかしい。その時代の印象が強いため、いまだにビーティーと呼ばれることが多いようだが、ある時期から映画会社の要望で「ウォーレン・ベイティ」に表記が変わり、戸惑った記憶がある。長く親しんでいた人に「実は、この名前でした」と宣言されたような。自分が社会人経験をスタートしたまだ若き札幌在住時代、好きで聞いていたSTVラジオ「日高晤郎ショー」(毎週土曜日8時〜13時50分)という番組があり、映画や書籍の論評を興味深く聞いていた。*2 今まで親しんできたウォーレン・ビーティの表記が突然変更になり、強く疑問を呈されていたことをよく覚えている。
 米国レーガン元大統領の就任当初の表記は、「リーガン」であった。表記をレーガンに変更する際は、以前のイメージを変えようとする印象操作ではないかとの議論もあったが、大統領本人の希望であること、発音により近いという理由により、メディア等の表記は一斉に変えられたのであった。ファクト重視の立場からは、発音により近いという点が重視されるが、外国語をカタカナで完璧に発音通り表記することは難しく、議論になることは多い。
 当方は、SFが好きでよく読むがロボット工学3原則で有名なアイザック・アシモフという有名なSF作家がいた(故人)。日本ではずっとアシモフと表記されてきたが、翻訳家が本人と直接話して「アジモフ」と言う表記が近いことを確認したとエッセーに書かれている。ただ、一部の出版社が表記を変更しただけで、新旧混在している。若い頃、耽溺し、思い出の底にある作家に対して「今から原音に近い発音に変えてください」と言われると、貴重な思い出までが変容してしまうように感じる場合がある。このあたり、昨日の事実の発見、検証と市民的感情の整合性の難しさとも関連するところ。聖徳太子議論にもかかわる文部科学省のパブリックコメントの内容がどうだったか気になってしまう。   

*1 来月(2017年4月)、テレビ朝日系の日曜洋画劇場が終了する。2013年4月の番組改編により45年間続いた日曜洋画劇場の枠は「日曜エンターテインメント」となっていたのだが、映画を放送する際は日曜洋画劇場として放送していた。いい映画があるときは、以降不定期で曜日に関わらず放送するとのことなので、地上波で映画を見る機会はなくならないが、日曜洋画劇場に関しては完全に終了するといえるだろう。映画の前後に解説を入れるというフォーマットを定着させたのは、日曜洋画劇場(放送当初は「土曜洋画劇場」)。自分は淀川長治さんの映画解説が好きで、1970年代にTBSラジオ「淀川長治Radio名画劇場 」を熱心に聞き、そのトークをまとめた本も買っていた。渡辺謙さんを本格的にハリウッドに進出した初めての日本俳優のように思う方も多いが、その前に早川雪洲という偉大なる先達がいた。(参考:中川織江『セッシュウ! 世界を魅了した日本人スター・早川雪洲』講談社・2012年は、入念な取材に基づく力作)それも淀川さんが教えてくれた。戦前、美男俳優として、全米女性のあこがれだったと再三強調していたので、その顔を確認したくて、早川雪洲がアカデミー助演男優賞候補となった「戦場にかける橋」を小学生のときに興味深く見た。ただ、この映画の頃は初老の時期なので、「全米女性のあこがれ」と言う表現には、少し違和感もあったのだが。でも淀川さんは早川雪洲が好きだったんだろうな。ものすごく熱を込めて話されていた。一度、淀川さんの話を直接拝聴したくて、1泊遊覧船ツアーを申し込み、楽しみにしていたが、ご健康上の都合で中止となり、その少し後、都内の講演会に行き、宿願を果たしたのだった。

*2 実際にこの情報を参考にして、映画を見たり本を買っていた。札幌在住時代の若き日の自分は、ドライブデートで音楽をかけていても、始まる時間になればこの番組を聞いていたものだ。デート向きの番組かはともかく、中身が濃かった。ちなみに番組は現在もまだ続いており、北海道へ行った際はいつも聞いている。昨年聞いたときも相変わらずエネルギッシュで驚く。数少なくなったまだまだ続けてほしい番組の一つ。昨年からの関西滞在で、関西地区のラジオも聴くようになって、映画評論家としても知られる浜村淳さんの番組も聞いてみたいと思っている。映画の結末まで話すとよく語られているが、ご本人は「いやラスト5分のことは話しません」と言ったとか。ホントかな?
posted by 林 秀一 at 15:20| 日記 | 更新情報をチェックする